NGS(次世代シーケンシング)とは、EGFR・ALK・ROS1といった複数の遺伝子変化を一度に確認する検査で、進行・転移性の非小細胞肺がんでは、この結果なしにどの薬を使うかを決めることができないため、治療開始前に受けることが推奨されています。
要点まとめ
- NGSは組織や血液からEGFR、ALK、ROS1、BRAF、KRAS、MET、RET、NTRKなど複数の遺伝子変化を一度に確認する検査です。
- 進行・転移性非小細胞肺がんでは、病期とあわせてバイオマーカーの結果がないと治療方針を決めることができず、NCCN患者向けガイドラインでも治療開始前のバイオマーカー検査を標準手順として説明しています(NCCN)。
- バイオマーカーが陽性であればその遺伝子を標的とする経口分子標的薬から治療を始め、陰性であればPD-L1発現を確認したうえで免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤との併用から始めるなど、結果によって治療経路そのものが変わります。
- 東アジアの患者ではEGFR変異が比較的多く見つかることが知られており、非喫煙者の肺がんでもバイオマーカー検査は特に重要です。
- 検査結果が出るまでは項目によって数日〜2〜3週間かかるため、現地での結果があればそのまま使用し、ない場合は組織スライドを送って韓国で検査する方法があります。
NGSとは具体的に何を調べる検査ですか?
- NGSは組織や血液から複数の遺伝子の変化を同時に読み取り、治療選択の参考にするバイオマーカー検査であり、遺伝性の変異を調べる遺伝カウンセリング用検査とは異なります(米国国立がん研究所 NCI)。
- 肺がんではEGFR、ALK、ROS1、BRAF、KRAS、MET、RET、NTRKといった遺伝子変化とPD-L1発現をあわせて確認することで、はじめて薬剤を選ぶことができます。組織採取が難しい場合は、血液で腫瘍由来DNAを調べる方法を用いることもあります。
- 分子標的薬はがん細胞の増殖に関わる特定のタンパク質や遺伝子変異を標的とする薬物治療であり、該当する変異がない患者さんには同じ薬がほとんど効きません(国家がん情報センター)。
検査結果によって治療はどう変わりますか?(順序)
- 1段階目 — 胸部CTで疑わしい病変を見つけ、気管支鏡検査や針生検で組織を採取し、非小細胞肺がんか小細胞肺がんかを判定します。
- 2段階目 — PET-CTと脳MRIで病期を確認すると同時に、組織または血液でNGSによるバイオマーカー検査を行います。
- 3段階目 — 4期の非小細胞肺がんでEGFRやALKなどの標的が確認された場合は、それに合った経口分子標的薬から治療を始めます。
- 4段階目 — 標的が見つからない場合は、PD-L1発現と組織型を確認したうえで、免疫チェックポイント阻害薬の単独投与、または抗がん剤との併用から治療を始めます。
- 5段階目 — 薬が効いている間は2〜3か月ごとにCTで効果を確認し、耐性が生じた場合は再検査を行って次の薬剤へ切り替えるのが一般的な流れです。
よくある質問 — 現地で受けた遺伝子検査の結果をそのまま使えますか?
現地の結果が最近のもので項目も十分であれば、そのまま使用します。結果がない、古い、あるいは必要な項目が不足している場合は、組織スライドやパラフィンブロックを送って韓国でNGS検査を行うか、入国後に検査を受ける方法があり、どちらになるかはレビュー段階で案内されます。
よくある質問 — タバコを吸ったことがなくてもNGS検査は必要ですか?
非喫煙者に発生する肺がんではEGFRやALKなどの遺伝子変化が見つかる割合が高いことが知られており、喫煙歴の有無にかかわらずバイオマーカー検査は特に重要です。標的が確認されれば経口分子標的薬が選択肢に入り、見つからなければ免疫治療や抗がん治療が基本方針となります。
出典と留意事項
- 本記事は肺がん、分子標的治療、治療前に確認すべきことに関する資料(国家がん情報センター、国立がんセンター、NCCN患者向けガイドライン、米国国立がん研究所 NCI、SEER)を根拠として作成されています。
- 本コンテンツは一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の状態によって診断・治療方法や結果は異なる場合があります。正確な診断と治療については、必ず医療機関にご相談のうえ決定してください。