直腸がんを含む大腸がんは4期(末期)であっても、転移部位を手術で切除できる場合には完治を目指して治療することがあり、生存期間を一つの数字で断定することはできません。韓国における大腸がん全体の5年相対生存率は75.6%ですが、これはあくまで国家統計であり、個人の予後を示すものではありません。
要点まとめ
- 韓国の大腸がん5年相対生存率は75.6%です(国家がん登録統計2019–2023、国立がんセンター中央がん登録本部)。同時期のすべてのがんを合わせた5年相対生存率は73.7%です。
- 大腸がんは4期(末期)であっても、肝臓・肺などの転移部位を手術で切除できる場合には、抗がん剤治療と転移切除を組み合わせて完治を目指して治療することがあり、他のがんに比べて「4期」が指す状態の幅が広いのが特徴です。
- 転移部位を切除できない場合には全身抗がん剤治療が中心となり、RAS・BRAF・MSI・HER2の結果に応じて分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を追加します。MSI-Highの場合には免疫治療が特に効きやすいことが知られています。
- 生存率は集団の平均値であり、個人の結果を予測する数字ではありません。実際の経過は病期、転移部位・個数、年齢、健康状態、治療反応によって人ごとに大きく異なります。
末期(4期)の直腸がんは治療不可能な状態なのか?
- いいえ、そうではありません。大腸がんの病期のうち4期は、TNM分類でM(遠隔臓器転移)がある状態を意味し、肝臓や肺に広がっていても、その転移部位を手術で切除できるかどうかが治療方針を分ける重要な基準となります。
- 転移部位を切除できる場合には、抗がん剤治療と転移切除を組み合わせて完治を目指して治療することもあります。逆に切除できない場合には、目標が腫瘍抑制と症状コントロールに切り替わり、全身抗がん剤治療が中心となります。
- このとき薬剤の選択はRAS、BRAF、MSI/MMR、HER2といったバイオマーカー検査の結果によって異なり、MSI-Highの場合には免疫チェックポイント阻害薬が特に効きやすいことが知られています。
生存率75.6%は末期患者にも当てはまる数値なのか?
- いいえ、そうではありません。75.6%は早期から末期まですべての病期を合わせた大腸がん全体の5年相対生存率であり(国家がん登録統計2019–2023)、病期別に分けると数値は大きく変わります。
- この統計は特定の病院の治療成績ではなく、韓国全体の患者を対象とした国家統計です。参考までに、米国SEER統計における大腸がんの5年相対生存率は65.4%(2016–2022)であり、両国の差は治療技術だけでなく、国家検診による早期発見率の違いからも大きく生じています。
- したがって、自分の病期、転移範囲、治療反応が反映されていない全体平均の数値を、個人の予想生存期間にそのまま当てはめることは難しいといえます。
末期患者が治療を決めるまでの手順はどうなっているのか?
- 第1段階 検査:大腸内視鏡と組織検査でがんを確認し、腹部・胸部CTで肝臓・肺転移とリンパ節を確認します。直腸がんの場合は骨盤MRIで腸壁への浸潤度合いと肛門括約筋との距離を確認します。
- 第2段階 バイオマーカー検査:血液中のCEAを測定し、MSI/MMR・RAS・BRAF・HER2といったバイオマーカーを検査して、薬剤選択の根拠を整えます。
- 第3段階 判断:転移部位が切除可能かどうか、転移の個数・位置、肝機能などを総合的に判断し、完治を目標とする治療か、コントロールを目標とする治療かを決定します。
- 第4段階 治療:切除可能であれば抗がん剤治療と転移切除(肝切除・ラジオ波焼灼療法など)を組み合わせ、切除不可能であれば分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を追加した全身抗がん剤治療を続けます。
- 第5段階 経過観察:治療反応に応じて治療計画を定期的に再評価します。
よくある質問 — 肝臓や肺に転移した直腸がんも治療できるのか?
転移の個数と位置、肝機能に応じて、肝切除・ラジオ波焼灼療法・放射線治療・抗がん剤治療を組み合わせます。大腸がんは転移があっても切除可能であれば積極的に治療するがんとして知られており、レビュー所見書で切除可能かどうかと治療の順序を確認することができます。
よくある質問 — 海外で受けたバイオマーカー検査結果をそのまま使ってもよいのか?
大半の場合は参考資料としてそのまま使用できます。ただし検査方法と判定基準は機関によって異なるため、薬剤選択の決め手となるバイオマーカー(RAS・BRAF・MSI・HER2)については、パラフィンブロックを用いて再確認することがあります。組織検査・病理報告書の原本とともにパラフィンブロックやスライドを準備しておくと、再検討が可能です。
出典および留意事項
- 本記事は、国家がん登録統計2019–2023(国立がんセンター中央がん登録本部)およびSEER 2016–2022(米国国立がん研究所)の統計、国家がん情報センターおよびNCCN患者向けガイドライン水準の一般情報をもとに作成しています。
- 本コンテンツは一般的な医学情報の提供を目的としており、個人の状態によって診断・治療方法および結果は異なる場合があります。正確な診断と治療については、必ず医療従事者にご相談のうえ決定してください。