肺がんの手術可否は、病期(特に縦隔リンパ節転移の有無)と肺機能・心臓の状態を併せて確認した上で決定され、一般的にステージ1~2は手術が基本、ステージ3は複合治療、ステージ4は全身薬物療法が中心となります。
要点まとめ
- 手術が可能かどうかは、病期、縦隔リンパ節転移の有無、肺機能・心臓の状態という3つの要素で決まります。
- 非小細胞肺がんのステージ1~2は、腫瘍が肺内にとどまり、リンパ節転移がないか肺に近いリンパ節に限局している状態で、手術が基本となります。
- ステージ3は縦隔リンパ節転移や周辺構造への浸潤があるため、手術・抗がん剤治療・放射線治療の組み合わせをチームで検討して決めます。
- ステージ4(反対側の肺・脳・骨・肝臓への転移、胸水貯留)では、手術ではなく全身薬物療法が中心となります。
- 肺機能検査と心臓の検査で手術に耐えられる体力があるかを確認しますが、これは肺がんの5年相対生存率42.5%(国家がん登録統計2019~2023年)とは別に、患者ごとに異なる判断となります。
手術可否を分ける重要な基準は何ですか?
- 最も重要なのは縦隔リンパ節に転移があるかどうかです。ここに転移がないか肺に近いリンパ節のみに限局している場合は手術をまず検討し、縦隔リンパ節まで広がっていたり、反対側の肺・脳・骨・肝臓など遠隔臓器に転移している場合は、手術は後回しになるか治療計画から外れます。
- これに加え、患者が肺葉切除と全身麻酔に耐えられるかを肺機能検査と心臓の検査で確認します。病期が良好でも肺機能が不足していれば、手術の代わりにSBRT(定位放射線治療)のような代替策を検討します。
検査はどのような順序で進みますか?
- 端的に言うと、組織確認→病期確認→手術可能性の判断→治療方針決定の順で進みます。
- 第1段階では胸部CTで疑わしい病変を見つけ、気管支内視鏡、CTガイド下針生検、外科的生検のうち病変の位置に合った方法で組織を採取し、非小細胞肺がんか小細胞肺がんか、組織型は何かを確認します。
- 第2段階ではPET-CTでリンパ節および遠隔臓器への転移を、脳MRIで脳転移を確認します。
- 第3段階では縦隔リンパ節が疑われる場合、気管支超音波(EBUS)で直接穿刺して転移の有無を確認します。
- 第4段階では手術を検討する場合、肺機能検査と心臓の検査で手術に耐えられるかを確認します。
- 第5段階では進行・転移性の非小細胞肺がんの場合、EGFR、ALK、ROS1、BRAF、KRAS、MET、RET、NTRKといった遺伝子変化やPD-L1の発現をNGS検査などで確認し、全身治療の方向性を合わせて決定します。
病期によって手術方法も変わりますか?
- 端的に言うと、ステージ1~2は胸腔鏡・ロボット支援による肺葉切除が基本であり、腫瘍が小さく位置が適している場合はより切除範囲の少ない部分切除を行うこともあります。
- 手術結果に応じて術後補助化学療法を追加し、EGFR変異がある場合やPD-L1の条件に合致する場合は、手術後に分子標的治療や免疫療法を続ける方式が標準治療に組み込まれています。
- ステージ3で手術が可能と判断される場合は、術前に抗がん剤・免疫療法で腫瘍を縮小させてから手術を行う方式が標準として定着しつつあり、手術が難しい場合は抗がん剤治療と放射線治療を同時に行い、その後免疫療法を続けます。
- 年齢や肺機能の問題で手術が難しい早期がんの場合は、SBRT(定位放射線治療)により数日で治療を終えることができます。
よくある質問 — 手術不可能と言われたら治療法はないのでしょうか?
いいえ、そうではありません。手術が難しい場合でも治療法は残されています。ステージ3では抗がん剤治療と放射線治療の同時併用後に免疫療法を続け、ステージ4では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を中心とした全身薬物療法を続けます。脳や骨に転移がある場合は、該当部位に対して放射線治療を別途追加することができます。
よくある質問 — 現地で受けた画像・検査結果をそのまま手術判断に使えますか?
胸部CT、PET-CT、脳MRIは可能であればDICOM原本データを、病理レポートおよび遺伝子・マーカー検査結果(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、KRAS、MET、RET、NTRK、PD-L1、NGS)を併せて準備すれば、手術可否の判断の参考にすることができます。結果がない場合や不十分な場合は、組織スライドやパラフィンブロックを送付して再検査するか、渡航後に検査を行うこともできます。
出典および注意事項
- 本記事は国家がん登録統計2019~2023年(国立がんセンター中央がん登録本部)、SEER 2016~2022年、国立がんセンターの肺がん情報を基に作成しました。
- 本コンテンツは一般的な医学情報の提供を目的としており、個人の状態によって診断・治療方法および結果は異なる場合があります。正確な診断と治療については、必ず医療スタッフとの相談を通じて決定してください。