重粒子線治療は、炭素イオンを加速して腫瘍に照射する放射線治療の一種です。どのがんに適応となるかは、病期や腫瘍の位置、そして担当医療チームの判断によって異なります。
原理 — 正常組織への影響を抑えられる理由
炭素イオンは体内を通過する間はわずかなエネルギーしか放出せず、速度が落ちる特定の深さで一気にエネルギーを放出して止まります。これをブラッグピークと呼び、このポイントを腫瘍の位置に合わせることが治療計画の要となります。炭素イオンは陽子線より重く、がん細胞のDNAを両方の鎖で強く切断するため、通常のX線放射線治療では効きにくかった腫瘍にも試みられます。
検討対象となるがんの種類
前立腺がん、肝細胞がん、一部の肺がん、膵臓がん、骨・軟部組織肉腫のように、境界が比較的明瞭な局所固形がんが対象です。手術が難しい場合や、心臓・肺機能の問題で手術に耐えられない場合の代替として検討されます。以前に放射線治療を受けた部位の再発についても検討され得ますが、その際は以前の照射部位と線量記録が必要です。
標準的な適応ではない場合
- 複数の臓器にすでに転移しているがん
- 胃がん・大腸がんのように腸壁に沿って広範囲に広がるがん
- 白血病・リンパ腫のような血液がん
- ステージ4の転移がんは、原則として全身治療がまず検討されます
治療の流れと滞在期間
到着後、CT・MRIによるシミュレーション撮影と照射計画の立案に1〜2週間かかります。実際の照射は、がんの種類に応じて4〜16回、週4〜5回のペースで通院しながら受けます。計画期間と照射期間を合わせて、3〜4週間の滞在を見込むのが一般的です。