肝動脈化学塞栓術(TACE)は、肝がんに栄養を送る血管を塞いで腫瘍を兵糧攻めにする局所治療法で、主に肝臓内に複数の腫瘍がある中期肝がんにおいて中心となる治療です。
要点まとめ
- TACEは腫瘍に栄養を送る肝動脈を塞いで腫瘍を兵糧攻めにする局所治療であり、肝臓内に複数の腫瘍がある中期肝がんにおいて中心的な治療として用いられます。
- 切除は難しいものの腫瘍が肝臓内にとどまっており、肝機能と門脈血流が処置に耐えられる場合に適応を検討します。
- 処置後1〜2日は発熱・腹痛・吐き気・倦怠感がよく見られますが、たいてい数日以内に落ち着き、10日前後で帰国可能な状態になります。
- 同じ大きさの腫瘍であっても、肝機能の等級(Child-Pugh分類)によってTACEを実施できるかどうかが変わり、最終的な選択は担当医療チームが判断します。
- 韓国における肝がんの5年相対生存率は40.4%(国家がん登録統計 2019〜2023年)であり、これは特定の病院の実績ではなく国全体の統計です。
TACEはどのような仕組みで働くのですか?
- TACEは、肝がんに栄養を供給している動脈を見つけて塞ぐことで、腫瘍を兵糧攻めにする処置です。
- 肝がんは多くの場合、慢性肝炎や肝硬変を背景に発生するため、病期だけでなく肝機能の等級や門脈圧も治療可能かどうかを左右します。そのため、同じ大きさ・個数の腫瘍であっても、肝機能によってTACEを適用できるかどうかが変わってきます。
- 放射線塞栓術を併用または代わりに用いる場合もあり、定位放射線治療や粒子線治療、全身薬物療法を組み合わせたり、そのいずれかを先に試みる方法も検討されます。
どのような場合にTACEを勧めますか?
- 肝がんの治療方針は病期ごとに分かれます。腫瘍が小さく個数が少なく、肝機能が良好な超早期・早期段階では、肝切除やラジオ波焼灼術、あるいは肝移植が優先的に検討されます。
- 肝臓内に複数の腫瘍がある中期段階では、TACEが中心的な治療となります。切除は難しいものの腫瘍が肝臓外に広がらず肝臓内にとどまっており、肝機能と門脈血流が処置に耐えられる場合が対象です。
- 血管に浸潤している、または肝臓外に転移している進行期では、全身薬物療法(免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用など)が中心となり、TACEは原則として第一選択にはなりません。
- 肝機能が大きく低下している場合は、処置によってかえって肝臓を傷めるおそれがあるため、症状のコントロールと肝機能の温存、移植可能性の検討が優先されます。
処置後の副作用と回復期間はどのくらいですか?
- TACEを含む塞栓術の後には、1〜2日程度の発熱、腹痛、吐き気、倦怠感がよく見られ、こうした反応は一般的に経過する過程として説明されます。
- 症状はたいてい数日以内に治まり、10日前後で帰国可能な状態になることが一般的な目標です。ただし肝機能がぎりぎりの状態にある場合は、黄疸、腹水、意識低下が生じることがあるため、入院中は注意深く経過を観察します。
- 中国などで複数回TACEを受けて反応が低下している場合は、全身薬物療法や放射線治療へ方針を切り替える流れを検討し、これまでの処置の回数・範囲や画像記録が判断の根拠となります。
TACE後の経過観察はどのように行いますか?
- 第1段階:治療後の最初の1〜2年は、数カ月間隔で造影CTやMRI、AFPなどの腫瘍マーカー検査を繰り返します。
- 第2段階:その後は間隔を徐々に広げながら経過観察を続けます。
- 第3段階:慢性B型・C型肝炎がある場合は、抗ウイルス治療と肝機能検査を生涯にわたって継続します。
- 肝がんは治療した部位以外にも肝臓の別の場所に新たに発生することがあるため、他のがんに比べて経過観察の間隔が密になる傾向があり、帰国後は次回の検査時期と項目を記した引き継ぎ資料(所見書)を現地の医療チームに渡していただけます。
よくある質問 — TACEを受けるには組織検査が必ず必要ですか?
必ずしも必要ではありません。肝がんは造影CTやMRIで見られる特徴的な血流パターン(動脈相で濃く造影され、その後急速に洗い出される様子)とAFPなどの腫瘍マーカーによって診断される場合が多く、組織検査なしでも判読できるケースが少なくありません。画像所見が曖昧な場合や、他のがんの転移が疑われる場合にのみ組織検査を行います。
よくある質問 — TACEを受けるために必要な韓国滞在期間はどのくらいですか?
ラジオ波焼灼術および塞栓術(TACEを含む)の一般的な目標滞在期間は10日前後です。ただしこれは個人の肝機能回復のスピードや処置範囲によって変わる可能性があり、帰国可能な時期は担当医療チームが状態を確認したうえで決定します。
出典および注意事項
- 本稿は、国家がん登録統計 2019〜2023年(国立がんセンター中央がん登録本部)、国家がん情報センター・NCCNの患者向けガイドライン水準の肝がん関連資料をもとに作成しています。
- 本コンテンツは一般的な医学情報の提供を目的としており、個人の状態によって診断・治療方法や結果は異なる場合があります。正確な診断と治療方針については、必ず医療チームとの相談を通じて決定してください。