乳がんはホルモン受容体(ER・PR)とHER2、Ki-67の検査結果によって決まるサブタイプにより、手術の順序や使用する薬剤が大きく異なるがんです。同じ病期であってもサブタイプが異なれば、治療の流れ自体が変わってきます。
要点のまとめ
- 乳がんは一つの病気ではなく、サブタイプ(ER、PR、HER2、Ki-67の組み合わせ)によって経過や治療が異なる複数の病気として捉えられています。
- 韓国の乳がんの5年相対生存率は94.7%(国家がん登録統計2019–2023、National Cancer Center Korea中央がん登録本部)であり、これは国全体の統計であって個人の結果を予測するものではありません。
- HER2陽性またはトリプルネガティブ乳がんでは、3期などで手術より先に抗がん剤治療(HER2陽性の場合は分子標的治療を併用)を行うのが標準的な流れです。
- ホルモン受容体陽性であれば手術後5〜10年間、内服のホルモン治療を継続し、4期ではCDK4/6阻害薬を追加する組み合わせが多く用いられます。
- 組織検査でER、PR、HER2、Ki-67の4項目をあわせて確認することで、はじめて治療計画を立てることができます。
サブタイプはどのように決まりますか?
- 乳房にしこりが触れたり検診で異常が見つかったりした場合、マンモグラフィと超音波検査を行った後、疑わしい病変に針を刺して組織を採取する組織検査で診断を確定します。
- この組織検査では、がんの有無や組織型だけでなく、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2、細胞の増殖速度を示すKi-67まであわせて確認し、この4項目が治療計画の出発点となります。
- 病期を決定するために乳房MRI、腋窩超音波検査を行い、必要に応じて胸部CT・腹部画像検査・骨スキャン・PET-CTで遠隔転移の有無を確認します。若年発症や家族歴がある場合はBRCA1/2遺伝子検査を、ホルモン受容体陽性の早期がんでは抗がん剤治療の必要性を判断する多遺伝子検査を用いることもあります。
サブタイプによって治療の順序はどう変わりますか?
- 1〜2期では手術が中心となります。腫瘍の大きさと乳房の大きさの比率が合えば温存手術を行い放射線治療を追加し、手術後はサブタイプと病期に応じて抗がん剤治療・抗HER2分子標的治療・ホルモン治療・放射線治療を組み合わせます。
- 3期の場合やHER2陽性・トリプルネガティブの場合は、手術より先に抗がん剤治療(HER2陽性であれば分子標的治療を併用)を行って腫瘍を縮小させ、薬剤の効果を直接確認することが標準となっています。これにより温存手術の可能性が高まり、手術後に残存する腫瘍の程度に応じて、その後に続ける薬剤を決めることができます。
- 4期(転移)では、完治よりも長く快適に病状をコントロールすることが目標になります。ホルモン受容体陽性であればホルモン治療にCDK4/6阻害薬を追加し、HER2陽性であれば抗HER2分子標的治療と抗体薬物複合体を、トリプルネガティブであれば抗がん剤治療に免疫治療や抗体薬物複合体を組み合わせるなど、サブタイプごとに選択肢が異なります。
- ホルモン受容体陽性の場合は手術後5〜10年間、内服のホルモン治療を継続し、閉経前後によって使用する薬剤が異なり、卵巣機能抑制の注射を追加することもあります。
手術方法もサブタイプによって変わりますか?
- 第1段階:腫瘍の大きさと乳房の大きさの比率、位置が適していれば、乳房温存手術や腫瘍形成術(oncoplastic surgery)を検討します。
- 第2段階:腫瘍が大きい場合や複数箇所に広がっている場合は乳房全切除を行い、同じ手術でインプラントや自家組織を用いた即時再建をあわせて行うこともできます。放射線治療が予定されている場合は、再建の時期と方法を調整します。
- 第3段階:腋窩はまずセンチネルリンパ節生検で転移の有無を確認し、転移がない、または少ない場合はリンパ節を広く郭清しないことで腕のむくみ(リンパ浮腫)のリスクを減らします。
- 第4段階:治療終了後は診察とマンモグラフィを定められた間隔で繰り返し、ホルモン治療を受けている場合は骨密度検査と婦人科検査を、抗HER2治療を受けている場合は心機能検査をあわせて行います。
よくある質問 — サブタイプの検査結果が曖昧な場合はどうしますか?
HER2は検査方法や判定基準によって結果が分かれることがあり、薬剤選択を左右する重要な要素であるため、スコアが曖昧な場合はパラフィンブロックで再確認することを勧めるケースがあります。海外で受けた検査結果の多くは参考資料として活用することができます。
よくある質問 — サブタイプ別の生存率も別途公表されていますか?
公表されている乳がん全体の5年相対生存率は94.7%(国家がん登録統計2019–2023)であり、これは国全体の統計であって、サブタイプと病期によって実際の経過は大きく異なります。全体の数値よりも、ご自身のサブタイプと病期が経過を見通す上でより重要です。
出典および注意事項
- 本記事は国家がん登録統計2019–2023(National Cancer Center Korea中央がん登録本部)、NCCN患者向けガイドライン、SEER統計をもとに作成しました。
- 本コンテンツは一般的な医学情報の提供を目的としており、個人の状態によって診断・治療方法および結果は異なる場合があります。正確な診断と治療については、必ず医療スタッフにご相談の上で決定してください。